「定年後」をざっくりイメージできる【オススメ書籍3冊】

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「定年後」について、何から考えたらいいんだろう。

ネットで検索してみてもどうもイメージと違うな。

そもそも検索キーワードをどうするかわからない。

誰か簡単に概要を説明してくれないかな。

このような状況のあなたへ。

本記事では、「定年後」について、ぼんやりでも全体イメージをつかめるよう、通勤時間にさっと読めるオススメの書籍を3冊ご案内します。

まずは準備体操をするようなイメージです。

「さっと読める」とか「準備体操」だからといって内容が薄いわけではありません。

どの書籍も本当に内容の濃いものばかりです。

「オススメ書籍50冊」とかになると気が遠くなるので、3冊に厳選しました。

さっそくご案内します。

「定年入門 ~イキイキしなくちゃダメですか~」髙橋 秀実 著(ポプラ社)

「定年入門 ~イキイキしなくちゃダメですか~」は、ノンフィクション作家の髙橋秀実さんが、定年後の方々に取材した内容をまとめた本です。

髙橋さんは作家という「定年」のない職業からの視点で「会社員の定年後」を取材されているのが特徴です。同じ取材でも元会社員の著者の方とまったく視点が異なります。

登場する色々な方たちが様々な「定年後」を過ごされています。

そのリアルな生活を、ユーモアのある文章でストレートに描写していますので、手始めに「定年後」をイメージするにはうってつけの一冊と言えます。

「定年後」の生活は十人十色。もし、数年後にご自身が取材されたとしたら、ここに書かれている人達とは全く異なった1ページが追加されることでしょう。

髙橋さんは作家らくし、「定年」を〆切に例えてこのように書いています。

…不思議なことに、〆切時間がいよいよ迫ると、自分の書いたものが突然、面白く思えてくる。切羽詰まると「これでいいんだ」と脳が錯覚を起こすようなものです。…

…「定年」という終わりは〆切同様に不動。明確な区切りであり、区切りがなければ人生は物語になりません。区切りがあるからこそ、バリエーションも生まれるのではないでしょうか。

(P283 「あとがき 定年がうらやましい」より)

髙橋さんは、〆切があるからこそ面白い本を書くことができるそうです。

読みながら「共感」したり、なんとなく「違和感」を感じたり、「滑稽」だと思ったりすることがあったら、思いついたときにスマホアプリのメモ帳機能などを使って「メモ」しておいてください。

この「メモ」は必ず役に立つ時が来ます。

メモの重要性については、別記事にまとめてますのでご参照ください。

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「定年後 ~50歳からの生き方、終わり方~」楠木 新 著(中公新書)

「定年後 ~50歳からの生き方、終わり方~」の著者、楠木 新さんは、大手生命保険会社で60歳定年まで勤めあげた方です。

47歳の時にうつ病で長期休職も経験した苦労人で、その経験もあり50歳の頃から会社には内緒で、楠木 新というペンネームを使い、「働く意味」をテーマに執筆活動をされていました。

もがき苦しみながら会社員をまっとうされた姿は、それだけで戦友のような共感がわいてきます。

定年後は、執筆活動のほか、大学の教授も経験され、楠木ライフ&キャリア研究所も立ち上げられています。やりますねぇ。

楠木さんも多くの方を取材しています。

ただ、ノンフィクション作家の髙橋 秀実さんと大きく異なるのは、定年まで勤めあげた会社員の視点であることです。

取材された話を、様々なデータや参考文献をおりまぜながら解説されていますので、定年を取り巻く社会動向も同時に把握することができます。

この本で、最も勇気づけられるのはP111のこのような一文です。

「…人生で輝く期間は役割を背負ってバリバリ働く40代だと勘違いしがちである。…本当の黄金の期間は60歳から74歳までの15年なのである。」

(P111 「第4章 「黄金の15年」を輝かせるために」より)

楠木さんは、60歳からの15年を「黄金の15年」と表現しています。

「定年後」を考えることはすなわち、「黄金の15年」の生き方を考えることなのです。

なんとなく「灰色」のイメージがある定年後ですが、「黄金」といわれるだけでうれしく思えてきますね。

この「定年後」の続編といえる本、「定年準備」もとても参考になります。

別記事でご紹介していますので興味のある方はぜひご一読ください。

「定年前、しなくていい5つのこと ~「定年の常識」にダマされるな!~」大江 英樹 著(光文社新書)

「定年前、しなくていい5つのこと ~「定年の常識」に騙されるな!」の著者、大江 英樹さんは、大手証券会社に定年まで勤め、定年後は再雇用で働くも嫌になり半年後に退職し、いきなり起業した経歴を持つ方です。

45歳の時に出世ルートから外されたり、退職後に起業しても2年間はほぼ収入がなかったりと、大江さんもまた死線をくぐりぬけてきた方です。

その後は、経済コラムニストとして活躍され、「定年」や「年金」を中心に数多くの著書があります。

大江さんも多くの方の取材や、ご自身の体験をもとに「定年後のリアル」を書かれています。

楠木さんと同じように、会社員をまっとうした方の視点です。

文章から、ステレオタイプな定年論に惑わされず「自由を楽しもうぜ」という心意気が伝わってきます。

大江さんの起業した会社名が「株式会社オフィス・リベルタス」であることもうなずけます。

ラテン語で「自由」という意味の「リベルタス」から命名したそうです。

P260にこんな表現があります。

「定年後には過度な楽観も悲観も禁物です。自然体で暮らしを続ける中で、『ちょっと気分を変えて新しいところへお出かけしよう』というぐらいの軽い気分で良いのです。」

(P260 「おわりに」より)

苦労された先輩からそう言われると、漠然と不安だった気持ちが少し軽くなりますね。

今回は以上になります。

さらに興味が出た方は、今回ご紹介した著者の別の本や、本のなかで紹介されている参考文献を読み進まれるとさらにイメージできます。

また、別記事で「定年」をテーマにしたオススメ小説もご案内しているので、よければそちらも参考にしてください。

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大江さんの言葉とおり、まずは気楽に少しずつ、苦労された先輩がわれわれ後輩のために残してくれた言葉に耳を傾けるところからスタートしてみましょう。