この記事では、「定年後」を考えるためのオススメ書籍「メモの魔力 The Magic of Memos」前田 裕二 著(幻冬舎)ご紹介します。
単なる「メモ」ではなく、「自己分析」や「夢の現実化」にもつながる、タイトルとおり「魔力」を持った書籍です。
「定年後」について、何から考えたらいいのかわからなくて「モヤモヤ」している方、まずは「メモ」からはじめることをオススメします。
その時の必読の書籍といえます。
前田裕二さんはSHOWROOM株式会社の創業者で著名な実業家の方です。
そして、この「メモの魔力」は2019年で最も売れたビジネス書です。
前田裕二さんの「メモ術」は、メモの取り方、活用方法ともにハンパないです。
スマホアプリなど使わず、ノートにペンで書き込むところが好感が持てます。
筆者も別記事(»今はじめないと「定年後」に絶対後悔する【日常の簡単な3つの行動】)で、「メモ」することの有効性を書いていますが、書き方、活用方法など正直レベルが違います。
筆者のゆるい「メモ術」もじゅうぶん役立ちますが、あと3年早くこの本に出会っていたら、もっと深く自己分析できたのではないかと正直思います。
前田さんの「メモ術」は、長年の試行錯誤の上たどり着いた究極のノウハウですので、すべて取り入れようとしてもムリがあるでしょう。
エッセンスを取り入れながら、できる範囲で実行していけばいいと思います。
「第三章 メモで自分を知る」と、「第四章 メモで夢をかなえる」は「定年後」を考える上で、特に役立ちます。
第三章「メモで自分を知る」のご紹介
「自分を知る」ことから、自分が「本当にやりたいこと」や「生きがい」を見つけることができます。
「定年後」に働く理由のベスト3の中に、「生きがい」という回答があります。
(詳細は»「定年後」は皆どうしているのか?【データで見る定年後】をご覧ください)
「生活費」に続き第2位です。しかも年齢が上がるにつれ、ランキングは「生活費」を上回ります。
「メモ」でそれがわかるなんて、トライしてみるしかないですね。
実は、ここからが本番です。本書は、単なるメモや思考術のノウハウ本ではありません。これからメモや抽象化の技法を学んだところで、結局、「自分が何をやりたいか」ということが明確でなければ、さして意味がありません。(中略)
自分とは何か? 自分が本当に望んでいるものは何か? それを明らかにするときにもメモは本当に役立ちます。(中略)
最終的には「自分は何がやりたいのか?」という問いに行き着きます。
自分を知り、自分の望みを知らないまま、どんなビジネス書を読んでも、どんなセミナーに行っても、まず何も変わらないでしょう。まず、「自分を知る」ことがなによりも重要です。
(P116~118「メモで自分を知る」より)
実績のある実業家の言葉は、ほんとうに重みがあります。
第四章「メモで夢をかなえる」のご紹介
第四章は「メモで夢をかなえる」です。なんと魅力的な言葉でしょうか。
「夢や目標を言語化すると現実化する可能性が高まる」というのはよく聞く言葉です。
ビジネスで成功している前田さんも言うのですから、「言語化」にはその力があるに違いありません。
その理由を、前田さんはご自身の経験から「これだけは間違いなさそうだ」という2つを上げています。
一つは、「マインドシェア」です。
言葉で考え、想像することで「マインドシェア」が増え、その結果「夢が現実化」しやすくなるということです。
「想いの言語化」は、その絵が思い浮かぶくらい、想像し切らないといけません。
頭でぼんやりと思うだけではなく、目で具体的に見た映像のように、ありありと思い浮かぶくらいまでもっていきたいものです。逆にこれは、「そのくらい欲している対象ですか?」という問いかけでもあるのです。(中略)
ただぼんやりと思うのではなく、逃げずに言語化する。そして、きちんと目に見えるくらいはっきりと映像化する。それが夢をかなえるための、効果的な方法なのかなと思います。
(P146~152「メモで夢をかなえる」より)
二つ目は、「言霊(ことだま)」です。
スピリチュアルな意味ではなく、「言葉によって誰かの意識が変わり、それが何らかの形で自分にポジティブに跳ね返ってくる」ということです。
言葉にすることによって、仲間や共感者、サポーターが、自分が向いたいと思っている正しい方向に導いてくれる可能性が高くなるということです。(中略)
自分の言葉が誰かの潜在意識に大きな影響を与える可能性、つまり言霊の力を考えると、ネガティブなことはなるべく言わないようにしよう、と思えるようになります。
(P148~150「メモで夢をかなえる」より)
この2つの考えは、「アファメーション(Affirmation)」に通じる考え方です。
「アファメーション(Affirmation)」とは、肯定的な言葉やフレーズを自分自身に対して繰り返す精神的な練習で、心理学の中でも「認知行動療法(CBT)」で研究されています。
成功している実業者の方々の多くの経験や、心理学での科学的な研究があるのですから、「言語化」には何かしらの力があることは確実といえます。
その「言語化」を支える「メモ」が有効であることも間違いありません。
「定年後」の夢や目標が明確になった時は、ぜひ「言語化」しましょう。
最後に、この本で最も役に立つページをご案内します。
それはP209からの「自分を知るための【自己分析 1000問】」です。
前田さんが講演会などで一番多い質問が「やりたいことがわかりません」ということだったそうです。
前田さん自身、本当に心からやりたいことを見つけるのに、30冊もノートを書いたとしるされていました。
そのノートから抽出した自分への問いがこの1000問なのです。
なかなかのボリュームですが、トライする価値のある珠玉の1000問です。

今回は以上になります。