「定年後」を気軽に自由に考えられる【定年3.0】(大江 英樹 著)

定年3.0

この記事では、「定年3.0」大江 英樹 著(日経BP社)をご紹介します。

「定年後」の「お金」「健康」「孤独」の問題を気軽に考えることができるオススメの本です。

大江 英樹さんの書籍は、「定年後は好きにやろうぜ!」という“大人の自由”を楽しむ気概が感じられるものばかりです。

大江さんが定年後に起こした会社が株式会社オフィス・リベルタスなのもうなずけます。

「リベルタス」とはラテン語で「自由」という意味があるそうです。

大江さんは、大手証券会社で定年まで勤め、定年後は再雇用で働くも嫌になり半年後に退職し、いきなり起業した経歴を持つ方です。

45歳の時に出世ルートから外されたり、退職後に起業しても2年間はほぼ収入がなかったりと、死線をくぐりぬけてきた方です。

その後は、経済コラムニストとして活躍され、「定年」や「年金」を中心に数多くの著書があります。

残念ながら、今年(2024年)の1月にお亡くなりになられました。

ご冥福をお祈りいたします。

この本は、日経新聞のWebサイト「NIKKEI STYLE」内で連載していたコラムを書籍にしたものです。

1話ごとに読み切りで、長さもちょうどよく気軽に読み進められます。

内容は「定年後」に興味深いテーマで章立てしてあります。

「年金」、「働き方」、「ライフスタイル」、「資産運用」、「健康」です。

どれも「定年後」に気になるものばかりですね。

「定年後」の働き方を調べると、働いている人は全体の7割以上、働く理由のベスト3は「生活費」、「生きがい」、「健康」です。

本書のテーマは、全て網羅しています。

(「定年後」の働き方については別記事、「定年後」は皆どうしているのか?【データで見る定年後】でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください!)

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なかでも、大江さんの専門である「年金」や「資産運用」の話は、よくあるステレオタイプの記事と「視点」が異なりとても参考になります。

どのような「視点」かというと、一般的な意見を鵜呑みにしないで、「自分自身でちゃんと考えよう」というものです。

「年金」は本当に足りないのか、本当に破綻するのかを冷静に解説し、「そうでもないよ」とアドバイスをもらえます。

お金の話は、目先の損得勘定や老後破綻の大げさな記事が多く「不安」が先行しがちですが、人生の先輩から「そうでもないよ」といわれると安心するものです。

「あわてず」「自分のスタンス」で考えればいいのだな、と平常心に戻れるわけです。

タイトルの「定年3.0」とは、社会の変化に伴い、定年後の人生のあり方も第3のステージに変化しているという意味が込められています。

その変化の中で「何が大切」なのか、大江さんの考えは「はじめに」を読むとよくわかります。

定年3.0の時代を生き抜くには、これまでと違って「お金」「健康」「孤独」の3つの問題をそれぞれが解決していかなければならなくなったのです。

私自身が定年の生活を体験し、多くの定年退職者と接してきた経験から言えば、そのための最も重要なキーワードは「自助」です。

(中略)

「自助」というのは誰かに教えてもらったり、人の言う通りに生きたりするのではなく、自分の頭で考え、決断し、全て自分でまかなうとういうことです。

したがって「定年3.0」の時代を生きていくことは、人間本来の「自立する」という姿に戻ることでもあるような気がします。

(P3〜4「はじめに」より)

「おわりに」に大江さんの「心意気」が感じられる言葉があります。

誰にとっても「絶対正しい定年後生活」などというものがないのは確かですから、「定年後3.0」の世界では「老後生活はこうあるべき」といった周りの雑音など気にしてはいけません。

セカンドライフは自分のやりたいように過ごすべきです。人が何と言おうが、そんなことは余計なお世話です。

定年後生活に最も重要なキーワードは「自由」だからです。

ぜひ皆さんにも「定年後くらい自分の好きにさせてよ」という気概をもって“大人の自由”を楽しめるようになっていただきたいと思います。

(P269 「おわりに」より)

定年後生活に重要なキーワード

「自助」「自由」

このキーワードだけで読む価値がある本です。

今回は以上です。