
- 「自分らしいライフスタイル」を目指したいのだけど「自分らしさ」がよくわからない
- 「価値観」を深掘りすると「自分らしさ」がみつかりそう
- ひとりで、ゲーム感覚でできる方法はないかな
最近、このように感じていませんか。
あなたが探している「自分らしさ」診断法をご紹介します。
・「自分らしさ」って?
・「価値観」を深掘りするさまざまなアプローチ
・「エンゲージメントカード(価値観カード)」をつかって「自分らしさ」見つける
・ひとりで、ゲーム感覚でできる簡単手順。3ステップを紹介
この記事を書いている筆者は、心理学科卒の中小企業診断士。ここで紹介する手法を実際にためしてみて、「自分らしさ」を言語化するきっかけになりました。具体的なやり方を解説します。
定年後は、「自分らしいライフスタイル」で自由に行動したいと思っていませんか。
「自分らしく」というのは魅力的なことばです。
ただ、「自分らしさ」ってうまく説明できるでしょうか。
自分のことなのに、考えれば考えるほど、わからなくなるものが「自分らしさ」です。
マラソンをした時のことです。
「人に左右されずマイペースで走ろう」と思ってスタートしました。
走り始めるとすぐに「はて?マイペースとはどんなペースだ」となりました。
結局は周りの人のペースに左右されて、後半バテてしまったのです。
自分のカラダのことですが、いきなり走っても「マイペース」はわかりません。
事前に練習し、「マイペース」を把握しておく必要があったのです。
定年後の「自分らしいライフスタイル」も同じです。いきなり走りはじめても「自分らしいとは?」となってしまいます。
事前に「自分らしさ」を把握しておく必要があります。
「自分らしさ」を診断するには、定年を目前にした今がベストタイミングです。
今回ご紹介する方法は、「エンゲージメントカード(価値観カード)」を使いゲーム感覚でできる「自分らしさ」診断法です。
さっそくはじめましょう!
「自分らしさ」とは。 ~価値観にそった行動~

「自分らしさ」とはどのようなものでしょうか。
Webio辞書(実用日本語表現辞典)によると
「自分の特徴や性質を十分に発揮するさま。意識して抑制するのではなく、あるがままの姿でいるさま」
となっています。
このような表現もありました。
「自分の個性や価値観を大切にし、他人の期待に左右されずに行動すること」
「そのとおり」と納得できますよね。
でも、よくよく考えてみると「自分の特徴や性質」「自分の個性や価値観」ってなんだろう?という新たな疑問がでてきてしまいます。
不思議とうまく言葉で説明できません。
でも、どうやら自分の「価値観」により、なんらかの「行動している姿」や「発揮する姿」を意味するのだなということがわかります。
わかりやすく、図にしてみました。

自分の「価値観」にそった「行動」を、自分で自分を評価すると「自分らしい」となり、他人が自分を評価すると「〇〇さんらしい」となるわけです。
そうなると、「自分らしさ」を知るためには、自分の「価値観」を理解することが重要になってきます。
「価値観」を深掘りするためのさまざまなアプローチ

自分の「価値観」を深掘りするために、さまざまなアプローチ方法があります。
別記事でご紹介した「Core-Espressoing/コア・エスプレッシング」(価値観抽出法)もその一つです。
なぜ、さまざまな方法があるのでしょうか。
「価値観」は、言語化することがとても難しいからです。
なぜ、「価値観」を言葉で説明するのが難しいのでしょうか。
「価値観」で物事を判断している主体が、「意識(自分)」ではなくて「無意識」である可能性が高いからです。
「意識(自分)」は「無意識」が判断した行動の「後追い」をしているだけかもしれないのです。
「無意識」が判断の主体であるという学説は、別記事 »「自己分析法!50代後半。定年前に自分の「価値観」を診断する方法を解説」で詳しく紹介しています。興味のある方はぜひそちらもお読みください。
「無意識」の中にある「価値観」を探る有効な手法のひとつが、「エンゲージメントカード(価値観カード)」です。
「エンゲージメントカード(価値観カード)」とは

「エンゲージメントカード」とは、株式会社トリプルバリューが開発した、組織内の相互理解や自己理解を高めるためのカードゲーム形式のツールです。
2020年の発売以来、企業・自治体の研修や人材育成、高校・大学等の教育機関でのキャリア教育など、さまざまな場所で活用されています。
別記事でご紹介している「東京セカンドキャリア塾」のカリキュラムではじめて体験し、「へぇ、こんな方法もあるんだ」と感心したのを覚えています。
»東京セカンドキャリア塾について興味のある方は、こちらの記事もぜひお読みください。
カードは89枚あり、「感謝」「挑戦」「自律」「協力」などのキーワードが記載されています。
カードゲーム方式で、自分の「価値観」にフィットするカードを7枚選ぶことによって、自分の「価値観」を明確にして自己理解を深めることができるツールです。
グループワークでおこなえば、互いの「価値観」を共有することができ、相互理解を深め、コミュニケーション促進やチームワークを強化する効果も期待できます。
数人でのグループワークでの活用が多いのですが、もちろんひとりでも大丈夫です。
誰にも迷惑をかけずひとりでできるというのは、忙しい会社員にはピッタリですね。

ちなみに、“Pro”と“Plus”の2種類があります。違いは、「キーワードの説明・解釈」が記載されているかどうかです。
“Pro”は「キーワードの説明・解釈」の記載がないため、自分なりに言葉の解釈をすることで、深く自分との対話をして自己理解につながります。
“Plus”は「キーワードの説明・解釈」が書かれているため、チーム間での相互理解を深める目的の場合は言葉の意味が明確になるため、誤解が生じないメリットがあります。
今回の利用目的には“Pro”をおすすめします。
あと、カード枚数も紹介ページよって88枚だったり89枚だったりしますが、89枚です。
筆者は「エンゲージメントカード Pro」を所有していますが、数えたら89枚でした。
販売当初は88枚、途中で1枚増えたようです。
「エンゲージメントカード」のやり方、3ステップ
やり方は3ステップのみ。とても簡単です。
ゲーム感覚でできるところが良いところです。
「無意識」が持っている「価値観」に、どうやってアプローチするのかを図で説明します。

[Step1] はじめにランダムに7枚のカードを選ぶ。残りのカードから1枚ひいて、いらないカードを手放す
[Step2] 選びだした7枚のカードを、さらに3枚に絞る
[Step3] 選びだしたカードを使って、自己紹介文にする
[Step1]はじめにランダムに7枚のカードを選ぶ。残りのカードから1枚ひいて、いらないカードを手放す
「エンゲージメントカード」の進め方は、公式ページのHow to play(使い方)と、「東京セカンドキャリア塾」のカリキュラムをベースに解説します。
公式ページや東京セカンドキャリア塾では「少人数のグループワーク」を前提にしていますが、今回は「ひとりで実施する方法」です。

[Step1] では、最終的に7枚のカードを選びだします。
具体的にはこのような手順ですすめます。
① カードをシャッフルして、7枚選ぶ
② 残りのカードの山から1枚引く
③自分の「価値観」と合わない、ピンとこないカードを手放す
(手放すときは、「◯◯を手放します」と声に出します)
✔ここは考えないのがポイント。15秒以内で判断します。
④ カードの山がなくなるまで繰り返す
考えないで「直感」で判断します。
15秒以内で判断つかなかったら、そのカードは手放して次に進みます。
なぜ、直感で判断するのかというと、「意識(自分)」が介入する影響をさげて、「無意識」の判断を引き出すためです。
時間をかけると「意識(自分)」が、常識や自分の言動の整合性などいろいろ考えはじめて「バイアス」がかかってしまいます。
正しい正しくないとか、あっているあっていないではなく、ピンとくるかこないかで判断しましょう。
グループワークだと、他人の目や短時間で決断するという緊張感があるのでさらに効果が高まります。
「意識(自分)」がまわりに気を取られるので、「無意識」の自由度が高まるからです。
ひとりでも、声に出しながらやりましょう。
読んで声にだしてという作業の負荷を「意識(自分)」にかけることで、「無意識」の自由度を高めます。
1枚15秒以内なので、89枚あってもそれほど時間はかかりません。
選んだ7枚のカードに書かれている言葉はどのようなものだったでしょうか。
別記事でご紹介した、「コア・エスプレッシン(価値観抽出法)」で言語化した価値観と似ていましたか。
手元に残った7枚のカードが、「無意識」が持つ自分の「価値観」を象徴しています。
[Step2] 選びだした7枚のカードを、さらに3枚に絞る

[Step2] の手順はひとつだけです。
⑤選び出した7枚のカードから、さらに3枚のカードに絞る
7枚のカードから、さらに大切に感じるカードを3枚選びます。
「しっくりくるな」という感覚で選びだしてください。
ここまでくると、煮詰めて取り出した「結晶」のように感じるのではないでしょうか。
[Step3] 選びだしたカードを使って、自己紹介文にする

最後のステップです。
[Step3]では、選び出したカードを使って自己紹介文をつくります。
⑥ 3枚のカードを中心に、7枚のカードで自分の価値観を説明する自己紹介文をつくる
グループワークの場合は、なぜそのカードを選んだのか、「理由」をお互いに説明しあいます。
ひとりの時は、説明しあうかわりに、自分の価値観を説明する「自己紹介文」にまとめるのです。
文章は自由です。
できるだけポジティブな文章にしてみましょう。
この「自己紹介文」こそが、「無意識」にひそむ、自分の本当の「価値観」です。
オンラインでできる「エンゲージメントカード」(一人プレイ用)

株式会社トリプルバリューのページで、一人プレイ用の「エンゲージメントカード」ページがありましたのでご紹介します。
無料で「エンゲージメントカード」を試してみることができます。
ただし、残念ながら、実際のカードと同じやり方ができません。
使用方法をご説明します。
オンライン「エンゲージメントカード」の登録方法
このサイトは、ニックネーム、メールアドレス等の必須項目を入力し新規登録すると利用できます。

全89枚かランダムで40枚かを選択できます。せっかくですので全89枚でやってみましょう。
シーンを選択で、「仕事」を選ぶと「仕事の価値観の源泉」がわかるレーザーチャート公開中とありますが、現在レーザーチャートは公開されていません。エラー表示になります。
オンライン「エンゲージメントカード」の使用方法
1. スタート

スタートするとカードがあらわれます。
カードの下には3つのボタンがあります。
「いつも大切」「そういう時もある」「いや、別に…」
「いつも大切」を押したときだけ、カードがキープされる仕組みです。

カードが出たら、「直感」で判断して残すのか手放すのか判断します。
ただ、ここでちょっと残念なのが
オンライン「エンゲージメントカード」には、キープしたカードを手放す機能がありません。
なので、カードはいったん7枚以上キープされます。ここが実際のカードとはやり方が違ってしまいます。

2. すべてのカードを選び終わっていったん終了
すべてのカードを選び終わるといったん終了です。
けっこうな枚数をキープしてしまったかもしれませんね。
3. キープしたカードから、7枚を選ぶ
次は、7枚以上キープしたカードから、7枚を再度選びます。
キープしたカードが多いと選別が少し大変です。

4. 終了 7枚で自己紹介文をつくる
7枚のカードから3枚を選ぶというのは、オンライン上ではできませんので、こちらで終了です。
同じように「自己紹介文」をつくってみてください。
「キャッチコピー」を入れて「画像を作成」ボタンを押すと、キャッチコピーと7枚のカードが画像になるようですが、現在この機能はうまく作動しないようです。
オンライン「エンゲージメントカード」をおすすめしない理由
オンラインの「エンゲージメントカード」の最大の欠点は、直感的な判断が弱まることです。
・カードが出る順番がいつも同じ。
・7枚以上のカードが選べてしまうので、とりあえずキープしておこうという判断ができてしまう。
・15秒以内で、引いたカードの残すのか、残すなら何を手放すのかという緊張感がない。
・終了後に、キープしたカードから再度7枚を選ぶので、「意識(自分)」の関与する度合いが大きくなる。
これでは、「無意識」が持っている、自分の本当の「価値観」をうまく引き出せません。
「意識(自分)」が持っている、「常識」や「バイアス」の影響を受けてしまいます。
やはり、ひとりであっても、実際のカードを使って、あまり前情報なしに一気にやってみることをおすすめします。

(参考)体験ルポ!エンゲージメントカードを使ったグループワーク
参考までに、筆者の「グループワーク体験」を2つご紹介します。
「東京セカンドキャリア塾」カリキュラム

実際に体験したのは、2024年2月「東京セカンドキャリア塾」のカリキュラムの時でした。
4名のグループワークです。
グループメンバーは、その時初対面の方々です。
やり方は解説した方法と同じなのですが、グループワークとなると何ともいえない緊張感が漂います。
真剣度も増してきます。
カードをひいて、捨てるのかキープするのか、キープするならどのカードを捨てるのか、15秒以内でで判断しないといけません。
「おっ、彼はそれを手放したか」などが刺激になり、アタマの中がぐるぐる回るような感覚でした。
カードの内容もオープンにしていますし、手放すときも「◯◯を手放します」と宣言しながらすすめました。
89枚のカードを4名でワークしますので、もちろん自分には回ってこないカードもあります。
最終的に選んだ7枚はこのカードでした。
この中から、さらに絞りこんだ3枚はこちらです。
絞り込んだ3枚の価値観カードを選んだ理由を、一人2分間でグループメンバーに発表しあいコメントをもらって終了しました。
短い時間で集中しておこないますので、発表する内容は、「意識的に組み上げる」とか、「体裁を整える」ような時間はありませんでした。
「なぜ、自分はこのカードを選んだのだろう」と、推測したり想像するような感じで説明することになります。
まさに、「無意識」が選んだものを、「意識(自分)」が後追いで言語化したような感覚でした。
「東京しごとセンター」カリキュラム

20年ほど前に、同じような「カードを使ったグループワーク」をやったことを思い出しました。
飯田橋にある「東京しごとセンター」という東京都の施設を利用し、キャリアカウンセラーからすすめられた研修(無料)に参加したときのカリキュラムでの体験です。
資料を探して日付をみると2006年7月。当時42歳でした。
「エンゲージメントカード」は2020年の発売ですので、似ていますが別のカードです。
資料によると、使用したカードは「名詞カード(お金、家族など)」30枚、「動詞カード(チームで動く、ユニークな発想をするなど)」40枚です。
やり方は、カードを素早くめくり、「名詞」「動詞」から8枚ずつ選び出します。
この時のルールも、考えずに一瞬で判断することでした。
最後は、選んだ「名刺カード」と「動詞カード」を組み合わせて「自己紹介文」をつくり、グループメンバーで発表しあうというカリキュラムでした。
2006年に選んだカードは、2024年に選んだカードと似ていました。
20年の月日がたっても、「価値観」というものはあまり変化がないのかもしれません。
「エンゲージメントカード」に限らず、このようなやり方は、自分の「価値観」を探る手法として定番のものだということですね。
まとめ:「定年後」は、「価値観」にそった行動をすることが「自分らしさ」
今回は、「エンゲージメントカード(価値観カード)」を使った、「自分らしさ」診断を解説しました。
定年後に、「自分らしい」ライフスタイルで生活するためには、あらかじめ自分の「価値観」や「自分らしさ」を言語化しておく必要があります。
そうすれば、いつも「無意識」ばかりに頼らず、「意識(自分)」でも「自分らしさ」を判断することができるはずです。
「他人の意見」や、「世間の常識」にまどわされることが少なくなるに違いありません。
ぜひ、定年前の今、「エンゲージメントカード」で、「自分らしさ」を言語化してみてください。
役に立たないはずなどありません。
今回は以上です。