「定年後」の不安をなくす解説書 【定年男子の流儀】(大江 英樹 著)

この記事では、読後に「定年後」の不安などが小さいことに感じられ、前向きな気持ちになる本「老後不安がなくなる 定年男子の流儀」大江 英樹 著(ビジネス社)をご紹介します。

大江 英樹さんは、大手証券会社に定年まで勤め、定年後は再雇用で働くも嫌になり半年後に退職し、いきなり起業した経歴を持つ方です。

45歳の時に出世ルートから外されたり、退職後に起業しても2年間はほぼ収入がなかったりと、死線をくぐりぬけてきた方です。

その後は、経済コラムニストとして活躍され、「定年」や「年金」を中心に数多くの著書があります。

残念ながら、今年(2024年)の1月にお亡くなりになられました。

ご冥福をお祈りいたします。

「定年」に関して読んださまざまな本の中で、影響を受けたベスト1は?と問われたら、間違いなくこの「定年男子の流儀」であると即答します!

忘れもしません、2023年4月18日(火)の出勤前に会社近くのカフェでこの本を読み終わり大変感銘を受けたので、大江さんのFacebookをフォローしました。

しかし、フォローしたつもりが間違えて「友達申請」をしてしまっていたのです。

「友達申請の際は一言メッセージを…」という大江さんからのご返信で間違いに気がついた次第です。

あわててご無礼を謝罪し「友達申請」をキャンセルしようとしましたが、そう言うことならと快く承認してくださいました。

「東京セカンドキャリア塾」の基調講演でお会いできるチャンスがあったのですが、実現することはなく、大変残念に思っています。

「東京セカンドキャリア塾」については、別記事で詳しく紹介していますので、よろしけれそちらもぜひお読みください。

この本は、データや取材をもとに客観的にまとめたというより、ご自身の体験からくる大江さん流の考えを中心に書かれています。

そのことは、「はじめに」を読むとよくわかります。

「この本は、そんな私自身が身をもって体験したことをベースに、定年後の人生の楽しみ方を書いたものです。私自身、起業を支援する仕事をしているわけでもなんでもありませんから、よくあるような起業支援の会社のようにいいことずくめの話でもありません。ただただ、みなさん、1人ひとりにじっくりと読んでいただいて、定年後、「本当に豊かな人生」を送っていただきたい。そんな強い思いで書きました。

(P5「はじめに」より)

また、本のタイトルにもなっている「老後不安がなくなる」のこたえは、読み始めてすぐに書いてあります。

「世の中の老後対策本の多くは、早い時期から計画的に老後の準備をすることを説いています。…

私はまったく別のアプローチで老後不安をなくすということを本書で提案します。

“老後不安”をなくすにはどうすればいいか?

それは“老後”をなくせばいいのです。……

私は働くことをやめたときから「老後」が始まると考えています。つまり、「働いている限り老後はない」という考え方なのです。」

(P15-16「第1章 コツ01 “老後不安”をなくすためのたった1つの方法とは?」より)

ユニークな考え方ですね。

大江さんの世界観が伝わってきます。

本書は、「定年後」のライフワークで考えられる3つのことについて書かれています。

それは、「再雇用」「転職」「起業」です。

まず、「再雇用」についてです。

大江さんご自身の再雇用するも嫌になり半年後に退職したご経験をもとに、「再雇用」のメリット、デメリット、心構えを書かれています。

次に「転職」についてです。

「転職」についてのメリット、デメリット、さらに探し方や成功させるためのコツを書かれています。

コツさえつかめば「再雇用」より楽しく働けそうな気がします。

最後の「起業」については、大江さん自身が起業されていますので、最も力が入っています。

大江さんの起業した会社名はラテン語で「自由」という意味がある「株式会社オフィス・リベルタス」です。

ある時テレビ番組でやっていたクロアチア特集を見たそうです。

クロアチアの最南端にある「ロヴリイェナツ要塞」の城壁には次のような文言が書いてあるとのこと。

「Non bene pro toto libertas venditur auro」

ラテン語でどんなに黄金を積まれても決して自由を売り渡してはならない」という意味だそうです。

「サラリーマンは、自分のやりたいことをやる「自由」を犠牲にして会社のために働くかわりに、生活の安定を得ていました。これは決して悪いことではありません。

でもそれは、「定年」というイベントによって60歳で終わりを告げたのです。」

……

「サラリーマンは定年によって『真の自由』を得ることができる。そして、その自由は決して誰にも渡してはならない。だとすれば、私は会社を定年で辞めた後に、さらに会社に自由を売り渡すような再雇用で働き続けるべきではない。本当に自由な働き方ができるようになったのだから、それを大切にしよう」

番組を見ながらそう確信すると、いても立ってもいられなくなり、クロアチア行きの切符を買ってしまったというわけです。

(P156「第4章 コツ29 クロアチアの城壁にあった探し求めていた“答え”」より)

日々悩んでいた大江さんには、偶然見たテレビ番組がきっかけとなって大きく「起業」へカジを切りました。

»株式会社オフィス・リベルタス ホームページ「私たちの理念」

「定年後」の姿は100人100様です。

大江さんのお話は大江さんの人生なので、ほかの誰の人生にもあてはまらないことです。

ただ、「強い思いで書いた」という大江さんの文章に、筆者は大いに心を動かされました。

心を動かされてやった初めての行動が、間違えて「友達申請」してしまったことでしたが…。

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今回は以上です。