体験ルポ!「定年後」のリスキリングに最高に役立つ「職業訓練」

職業訓練イメージ

「定年後」にリスキリングしたい

民間スクールに通うと授業料けっこう高いよな公的なものってないのかな

公的な所って授業のレベルはどうなのかな

このように考えている方にぴったりなのが「職業訓練」です。

この記事では、「職業訓練」に6か月間、筆者みずからが参加した実体験をもとに、その全容をご案内します。

はじめに結論をお伝えします。

「定年後」のリスキリングに「最高に役立つ制度」です!

「職業訓練」やるじゃない!というが率直な感想です。

何がそんなに「最高に役立つ」のか解説していきます。

今回は23,000文字と少し長文になります。

そのかわり「職業訓練」を「定年後」に活用するための全てのことがわかりますので、ぜひご一読ください!

さっそくはじめます。

目次

無料の上に手当まで! ~「職業訓練」の5つの経済的メリット~

職業訓練の5つの経済的メリット

はじめに「お金の話」で申し訳ないのですが、様々な経済的メリットに驚きました。

はじめて知った時はあまりのことに声をあげてしまったほどです。

「えー。そうなの!」(カフェの中で)

「職業訓練」期間はなんと「失業給付の受給期間が自動で延長」されるのです。

つまり、「失業給付」をもらい続けながら勉強できるのです。

「そんなうまい話があるのか!」(今度は冷静に心の中で)

これは「定年後」に使えそうだと、詳しく調べました。

「5つの経済的なメリット」があります。

(一般の会社員で「定年退職」された方を想定しています)

「5つの経済的メリット」

①「職業訓練」は「受講料が無料」

②「職業訓練」が終了するまで失業給付の期間が自動延長」

③学校までの交通費がもらえる「通所手当」

④1日500円の日当がもらえる「受講手当」

⑤学校終了後に失業給付期間が延長される「終了後手当

これらの経済的メリットは「定年退職」後でも問題なく受けられます。

そもそも「定年退職」でも「失業給付」は支給されますし、定年は「自己都合退職」でないので、「失業給付」の2か月間の給付制限期間もありません。

※2025年4月より、2か月間の給付制限期間が1カ月に短縮されます。

»厚生労働省「「雇用保険法等の一部を改正する法律」の 成立について

①「職業訓練」は「受講料が無料」

受講料無料

「受講料が無料」ということが、そもそもあたりまえのことではありません。

筆者は資格を取得する際、民間の学校に通ったことがありますが、「そこそこの受講料」がかかりました。

受講料のほか、交通費、書籍代、模擬試験代など考えると資格取得までにいくらかかったことか。

「職業訓練」は、この「受講料が無料」なのです。

テキスト代は有料でしたが、別途支給される「受講手当」でお釣りがきました。

②「職業訓練」が終了するまで「失業給付の期間が自動延長」

失業給付期間の自動延長

これってすごいことではないでしょうか。

「職業訓練」期間は、なんと「失業給付の受給期間が自動で延長」されるのです。

はじめに驚いたのがココでした。

筆者の場合、失業給付日数「120日」約4か月間でした。

途中から6か月の「職業訓練」を受講し、はたしてどうなったか。

何も手続きすることなく自動で給付期間が延長され、最終的な失業給付期間は「219日」

7.3カ月間になったのです。

手続きは一切なく自動で延長されるというのがすごいところです。

生活費の心配せずに、心置きなく「勉強」と「就活」に集中してくれという配慮ですね。

この延長のことは、「雇用保険法 第24条(訓練延長給付)」に記載されていました。

第二十四条 受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合には、当該公共職業訓練等を受ける期間内の失業している日について、所定給付日数を超えてその者に基本手当を支給することができる。

e-GOV 法令検索:雇用保険法 第24条(訓練延長給付)

③学校までの交通費がもらえる「通所手当」

通所手当

「失業給付期間の延長」だけでも驚きましたが、なんと学校までの交通費「通所手当」がもらえるのです。

支給の上限額は月額42,500円ですが、それほどの金額になることは少ないでしょう。

筆者の場合、通学する「対面授業」は6か月のうち2か月間で、4か月間は「リモート授業」でした。

「リモート授業」期間の通学は、月1回のみです。

驚いたのは、ひと月のうち1回でも通学すると1か月分の交通費が支給されたことです。

いちいち日割りの計算も事務手続きが煩雑ですし、就活の交通費で使ってくれということなのでしょう。

「通所手当」も規定がありました。

「雇用保険法施行規則 59条(通所手当)」

第五十九条 通所手当は、次の各号のいずれかに該当する受給資格者に対して、支給するものとする。

一 受給資格者の住所又は居所から公共職業訓練等を行う施設への通所のため、交通機関又は有料の道路を利用してその運賃又は料金を負担することを常例とする者

(中略)

2 通所手当の月額は、次の各号に掲げる受給資格者の区分に応じて、当該各号に掲げる額とする。ただし、その額が四万二千五百円を超えるときは、四万二千五百円とする。

e-GOV 法令検索:雇用保険法施行規則 59条(通所手当)

④1日500円の日当がもらえる「受講手当」

もう多少のことでは驚かなくなっていましたが、この「受講手当」でまた驚いてしまいました。

なんと、1日500円の日当が支給されるのです。

上限は40日ですので20,000円です。

どうやら、文房具等の雑費の補助のようです。

この手当は学校のテキスト代に充当できました。テキスト代は自己負担の場合が多いです。

筆者の場合、テキスト代が16,000円(20種類分)でしたので、20,000円でお釣りがきました。

ほんとうに至れり尽くせりです。

この500円にもちゃんと規定がありました。

「雇用保険法施行規則 57条(受講手当)」

第五十七条 受講手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けた日について、四十日分を限度として支給するものとする。

2 受講手当の日額は、五百円とする。

e-GOV 法令検索:雇用保険法施行規則 57条(受講手当)

これ以上何かあると図にのってしまいそうです。

勉強すると小腹がすくので「小腹手当」をくれとか、眠気防止の「コーヒー手当」はないの、とか。

⑤学校終了後に失業給付期間が延長される「終了後手当」

終了後手当

もう手当は十分と思っていましたが、ダメ押しの手当が「終了後手当」です。

この手当は、受講終了1カ月をきった時点で「就職」が決まっておらず、終了後も支援の継続が必要と認められた方に支給される手当です。

「職業訓練」と同時に終了してしまう失業給付期間が「30日間延長」されるのです。

終了後手当

受講終了日までの4週間で2社以上に応募している実績など、支給条件はありますがとにかく手厚い支援です。

いったいどこまで面倒をみてくれるのでしょうか。

「再延長手当」、「再々延長手当」も期待してしまうではないですか。

「終了後手当」1979年(昭和54年)に創設された制度なのでかなり歴史があります。

支給条件は、2020年(令和2年)8月の「雇用保険に関する業務取扱要領」の改正で現在のものになりました。

支給条件は意外と最近の改正ですね。

»参照:会計検査院 令和頑年度決算検査報告より

次に、この「職業訓練」はそもそもどのような制度で、手厚い手当のお金はどこから出ているのかを調べてみました。

「職業訓練」はそもそもどのような制度なの?財源は?

雇用保険イメージ

経済的支援で至れり尽くせりの「職業訓練」ですが、そもそもどのような制度なのでしょうか?

また、そのお金はどこからでているのでしょうか?

「制度」、「財源」を調べてみました

「職業訓練」の位置づけ ~「雇用保険制度」について

「職業訓練」「雇用保険制度」の中に位置づけられています。

「雇用保険制度」は大きく2つの事業があります。

「雇用保険制度」

①失業、育児などで収入がなくなった場合の「給付」

②失業予防や能力開発の「雇用保険二事業」

「失業給付」のイメージしかありませんでしたが、「雇用保険二事業」というものがあるのですね。

「雇用保険二事業」とは何でしょうか。

「雇用保険 二事業」

①「雇用安定事業」…「雇用調整助成金」など主に企業への補助

「能力開発事業」…「職業訓練」など個人の能力開発

「職業訓練」は、②「能力開発事業」に位置付けられています。

雇用保険制度概要

»参考:厚生労働省 「雇用保険制度の概要」令和6年1月5日職業安定分科会雇用保険部会(第192回) 参考資料より

»参考:e-GOV 法令検索「雇用保険法」(目的)第1条

個々人の能力向上を支援し就業につなげていくことで、雇用の安定やキャリア形成を促進することが目的になります。

「職業訓練」についての詳細は、別途「能力開発促進法」で定められています。

「能力開発促進法」は、1985年まで「職業訓練法」といわれていました。

何にでも法的根拠がありますね。

»参考:e-GOV法令検索「能力開発促進法」

「職業訓練」の財源 ~雇用保険料~

資金的な支援が手厚い「職業訓練」ですが、そのお金はどこから出ているのでしょうか。

財源は「雇用保険」です。

「失業給付」「通所手当」「受講手当」「終了後手当」「失業等給付」

「職業訓練校」の運用費「能力開発事業」

雇用保険料概要

»参考:ハローワークインターネットサービス「雇用保険制度の概要」より

この「雇用保険」はそもそも誰が払っているのでしょうか。

それは、会社員が毎月給与天引きされている「雇用保険料」と、会社が社員ごとに支払っている「雇用保険料 事業主負担分」になります。

2024年現在の保険料は、会社員の場合「給与の0.6%」会社の場合「給与の0.95%」です。

月20万円の給与だと、1,200円が雇用保険料として給与天引きされています。

会社は1,900円(1,200円+700円)支払いますので、計3,100円がひと月の保険料になります。

「失業等・育児休業給付」を労働者と会社が折半(各0.6%)し、「二事業」は会社が負担(0.35%)という内訳です。

会社は個人よりも「二事業」分、負担額が多くなっています。

2024年度(令和5年度)の予算額と対比してみました。全体の規模感がイメージできると思います。

雇用保険財源内訳と予算規模

»参考:厚生労働省 「雇用保険制度の概要」令和6年1月5日職業安定分科会雇用保険部会(第192回) 参考資料より

»参考:厚生労働省「令和6年の雇用保険料について」

「雇用保険制度」は、雇用に関する「保険」ですので、加入者が保険料を負担しあい、「雇用」に関する将来の経済的なリスクに備える制度というわけです。

相互扶助の精神にのっとっていますね。

「保険料率」は引き上げ傾向にあります。

年度労働者負担事業主負担保険料率合計
2014〜2015年度0.5%0.85%1.35%
2016年度0.4%0.7%1.1%
2017〜2021年度0.3%0.6%0.9%
2022年度(4月)0.3%0.65%0.95%
  〃  (10月)0.5%0.85%1.35%
2023~2024年度0.6%0.95%1.55%

2020年からのコロナ禍で「失業給付」や「雇用調整助成金」の支出が拡大し、財政状況が大きく影響を受けたことが原因と言えます。

厳しい財政の中でも「職業訓練」制度は健全に維持してもらいたいものです。

次は、気になる「職業訓練」の体験談です。

実際どんなところで、授業のレベルはどうなのでしょうか。

また、体験前後で、イメージがどう変わったかご案内します。

「職業訓練」の体験談 ~イメージ激変、レベルは相当高い~

実際に「職業訓練」を体験してみて、想像していたイメージ、レベルの認識が大きく変わりました。

筆者の6か月間の実体験をご案内します。

「職業訓練」体験前後でイメージ激変

皆さんは「職業訓練」について、どのようなイメージを持っていますか?

筆者は、ほとんどイメージを持っていませんでした。

わずかに持っていたイメージはこのようなものです。

職業訓練旧イメージ

・技術系、手に職系の仕事。古典的なタイプ。

・軍隊のような厳しい規律。繰り返しの練習。

・堅苦しい古くさい講義。高齢の厳しい講師。

今は関係する方々に「謝りたい」気持ちです。

よく調べもせず、体験したわけでもないのにそのようなイメージを持っていたことを。

体験し終わった今、イメージがこのように変わりました

職業訓練イメージ

・多種多様な世代、フィールドを持った人が共生することで、新たな発想や成長が生まれるクリエイティブなラボ

・培ってきた力をさらに成長させるインキュベーター

・様々な資金的支援や心理的サポートが準備されている国の能力開発プログラム

ネーミングも「職業訓練」「職業訓練校」ではありません。

「職業訓練」

「スキルリブート・プログラム」

「キャリアイノベーション・プログラム」

 

「職業訓練校」

「プロキャリア・アカデミー」

「リスキリング・ラボ」

「ライフイノベーション・インキュベーター」

ちょうど、リンダ・グラットン著「LIFE SHIFT」にあるこの言葉とリンクしました。

マルチステージの人生が普通になり、人生で様々な活動を経験する順序が多様化すれば、「エイジ(=年齢)」と「ステージ」が必ずしもイコールでなくなる。(中略)

エイジとステージが切り離されれば、様々な年齢層が混ざり合う機会が飛躍的に増える。(中略)

さまざまな世代が一緒に活動し、混ざり合いやすくなれば、年齢に関する固定観念のいくつかは消えていく。

それにより、誰もが若者の柔軟性と好奇心、そして高齢者の知識と洞察力の両方を得られるようになる。

(「LIFE SHIFT」リンダ・グラットン著 P224~227 第6章 新しいステージより)

「LIFE SHIFT」については、別記事で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひお読みください。

LIFE-SHIFT

「職業訓練」には愛称、キャッチフレーズ、ロゴマークがありましたのでみてみましょう。

愛称・キャッチフレーズ・ロゴマーク

愛称:「ハロートレーニング」

キャッチフレーズ:「急がば学べ」

ロゴマーク:鉛筆型ロケット「ハロトレくん」

ハロトレくん

»参考:厚生労働省「愛称・キャッチフレーズとロゴマークについて」

残念ながら筆者のイメージとはだいぶ異なりますが、こちらは誰もが気軽に利用できる「敷居の低さ」を狙ったものでしょう。

油断してはいけないのが「敷居の低さ=レベルが低い」と勘違いしないことです。

次に、具体的な授業内容、実体験を具体的にご紹介します。

レベルの高さを感じていただけると思います。

「Webマーケティングの職業訓練校」 ~株式会社後藤企画~

後藤企画Webサイト

筆者が受講した学校は「株式会社後藤企画」という、国から委託された「民間の学校」になります。

この学校のカリキュラムは、「Webマーケティング」を中心にWeb関係の幅広いスキル、知識習得を目的に構成されています。

「Webマーケティング」を学ぶには、この学校が最も優れたカリキュラム構成でした。

期間は「6か月」です。

5月開講のコースでしたので、具体的には5月17日から11月12日まででした。

全23科目、610時限で構成されています。

詰め込みますね。

開講日から修了日まで、すべてのスケジュールは決まっています。

初めと最後の各1カ月が通学での「対面授業」、4カ月はZoomを使用した「オンライン授業」でした。

「ハイブリッド型」と呼ばれる方式です。

この方式は快適そのものでした。

当初「オンライン授業」の学習効果に懐疑的だったのですが、まったくそのようなことはありません。

学習効果は変わらず、通学がないため時間効率が飛躍的に高まります。

「オンライン授業」期間でも、月1回は「科目試験」、「キャリアコンサルティング」のために、通学日が設定されていました。

そのほか、ハローワークへ行く日(通所日)も、月1回あらかじめ決まっており、その日は授業はお休みです。

「後藤企画」授業 実体験ルポ!

後藤企画教室

授業の基本は月~金曜日、授業は1時限50分1日6時限あります。

1時限ごとに10分の休憩昼休みは60分です。

5月開講コースは9:10~15:50に設定されていました。他の月のコースと微妙にずれており、トイレなどが混みあわないような配慮がされていました。

「遅刻」「欠席」について厳しく運用されていました。

事故による電車の遅延や体調を崩したという理由でも遅刻は遅刻、欠席は欠席なのです。

5分以上の「遅刻」は「欠席」になり、欠席が2割以上になると退校になってしまいます。

授業の進め方は「座学」のほか、「グループワーク」や「個人ワーク」、「プレゼン」など、実際に手を動かす構成です。

「プレゼン」の際は「PREP法(プレップ法)」を使ってわかりやすく論理的に話すよう指導があります。

「PREP法(プレップ法)」とは、

Point(結論)

Reason(理由)

Example(例)

Point(結論の再確認)

の順序で情報を整理して伝える手法です。

授業はじめの「2分間スピーチ」でも「PREP法」で話すことを求められます。

スピーチは順番でまわってくるので、この話法は6か月間でかなり身につきます。

短期間で高いスキルを身につけるため、随所に工夫が感じられます。

次に、23科目の中からいくつかご紹介して、授業内容のレベル感をお伝えしたいと思います。

特徴は、スキルの学習だけではなく、考え方や視点の習得を重視しているところです。

「作業」だけではなく、「戦略的」な思考もあわせ持つ人材を育成するカリキュラムなのです。


<授業例>

「ロジカルシンキング概論」全24時限(4日間)

ロジカルシンキング概論

この授業と「Webマーケティング概論」は、「Webマーケティング」を掲げる「後藤企画」の看板授業といえます。

そのレベルは、中小企業診断士資格のマーケティング科目と変わらないレベルだと感じました。

本当に驚くばかりです。

基本的な4つの「ロジックツリー」や、「シックスハット法」「SCAMPER法」などの発想法、各種フレームワークを活用した「課題発見」や「問題解決」の思考方法などをMECE(ミーシー)に考えるというものです。

MECE(ミーシー)とは、

Mutually(相互に)

Exclusive(重複せず)

Collectively(全体として)

Exhaustive(漏れがない)

の頭文字を取った言葉で、「漏れなく、ダブりなく」という意味があります。

ロジカルシンキングの手法として活用されています。

「座学」「グループワーク」が繰り返され、かなりの緊張感が続く高ストレス授業でした。


「Webマーケティング概論」全66時限(11日間)

Webマーケティング概論

この授業では、マーケティング戦略策定でよく使われる基本的な「ビジネスフレームワーク」を学びます。

ただ、それだけではありません。

学んだ「ビジネスフレームワーク」を使い、実際に「マーケティングレポート」を作成し、1人ずつ「プレゼン」するという衝撃の内容でした。

「ビジネスフレームワーク」は、

PEST分析、5F分析、3C分析、SWOT分析、PPM、成長マトリクス、SPT分析、4P分析、KPIツリー、ビジネスモデルキャンバス

などを網羅しています。

さらに、

AIDMA、AISAS、マーケティングファネル、ペルソナ設定、カスタマージャーニーマップ

なども加わり、マクロからミクロ分析までひととおり学習するのです。

「個人ワーク」は、クライアント企業へ「Web施策」をプレゼンするという想定「マーケティングレポート」を作成するというものです。

対象企業は自分で自由に決めます。

その企業のIR情報等を調べ、各種「ビジネスフレームワーク」を使った分析をおこない、具体的な「Web施策」を考えPowerPintを使いレポートにまとめます

プレゼン時間は1人15分

企業選定からレポート作成の期間は36時限(6日間)です。

プレゼン順番が1番だった筆者は、「最年長の余裕を見せねばならない」という、勝手なプレッシャーに耐えつつ、全知識と経験を総動員して取り組んだのは言うまでもありません。

ちなみに、筆者が選んだ企業は「株式会社クリーマ」という、ハンドメイドECマーケットのシェアNo1企業です。

「ロジカルシンキング概論」と「Webマーケティング概論」は、かなりハイレベルな骨太カリキュラムでした。

修了後は全員ぐったりしていましたが、力がついたことは間違いありません。

»参考:後藤企画Webサイト「生徒作品(マーケティングレポート)」


「AI・ChatGPT概論」全6時限(1日間)

ChatGPT

この授業は、時間数は短い科目でしたが、衝撃的な授業でした。

ChatGPTを中心にしたAIの歴史から、実際できること、「プロンプト」の作成方法・実技です。

「プロンプト」とは、AIに対しての「指示や質問」の作法のようなものです。

「プロンプト」が曖昧だと、AIのアウトプットもこちらの意図とズレてきてしまいます。

このあたり、「人に頼む」時と同じだなとおもしろく感じました。

AIも今や飛躍的に進化し「生成AI」と呼ばれる、自ら学習していく段階に入っています。

「生成AIでここまでできるのか」と本当に驚いたことを今も鮮明に覚えています。

「生成AI」を活用できない人は取り残される時代が、目前まで迫ってきていると実感させられました。

「定年後」のライフワークを考えるときは、「生成AI」にできない分野を選ぶ必要があると痛感した次第です。


「プレゼン資料作成概論」全48時限(8日間)

プレゼン資料作成実習

この授業は、自分の「ポートフォリオ」をPowerPintで作成し、「プレゼン」するという内容です。

「ポートフォリオ」とは、クリエイターが「自分の作品」をアピールするために作成する資料です。

「後藤企画」では、履歴書、職務経歴書と別に「ポートフォリオ」を作成することを推奨しています。

最近はSNSやブログ等で「情報発信」をしている人が多く、クリエイターでなくてもさまざまな「自分の作品」を持っています。

自分自身を「売り込む商品」としてとらえて、その魅力を伝える「マーケティングツール」として「ポートフォリオ」を作成するというカリキュラムです。

ただ作るだけでなく、5分間で「プレゼン」し、先生とクラス全員から評価されクラスで1位を決めるのです。

「プレゼン」は動画で記録され、見返すことで自分のクセや表現方法を修正していくという徹底ぶりです。

これもかなりハードなカリキュラムでした。

自分の「強み」や「差別化」のポイントは何なのか。

どうすればそのことが「魅力的」に伝わるのか。

これを組み立てて5分間の「プレゼン資料」をつくることは簡単ではありません。

資料作成の時間は18時限(3日間)です。

開校後、1カ月ほどたった頃のカリキュラムでしたが、「職業訓練」を甘く見ていたと反省し始めたのもこの頃です。

»参考:後藤企画Webサイト「生徒作品(ポートフォリオ)」


「SEO概論」全18時限(3日間)

SEOイメージ

この授業は、SEOの最新の知識や具体的な対策について学びます。

事前にテキストがなかったのはこの授業だけでした。

なぜなら、SEO分野は変化が激しいため、講義をしながらその場で最新のテキストも作っていくというユニークな形式でした。

最終的に出来上がったテキストはWordで130ページにもなるものでした。

途中で質問があるとその内容も追加していき、独自のテキストが完成するのです。

講師は実際に専門の会社を起業している代表の方でしたので、内容は最新で実践的なものでした。

授業の内容は、復習時に実際「ブログ」に試してみるなど、すぐに活用することで理解を深める努力をしました。

かなり必死です。

他の科目と異なり「座学」が中心だったため、「グループワーク」や「プレゼン」で精神的に追い込まれることがない、ある意味安心できる授業でした。


「動画撮影編集実習」全36時限(6日間)

動画撮影編集実習

この授業は、動画編集ソフト「DaVinci Resolve」の使用方法を2日間学習した後、5人ほどのグループに分かれ4日間で1本の「プロモーション動画」を作り上げ「プレゼン」するという授業です。

開講して2週間もたっていない頃の授業でした。

まだ全員の顔と名前も一致していないのに、そんな短期間で「企画」「撮影」「編集」して動画を仕上げるのかと驚きました。

具体的な課題はこのようなものでした。

動画制作 課題内容

①「後藤企画」から依頼があったという想定で、「プロモーション動画」を仕上げる。

②動画のテーマ、切り口、尺は自由。チームで話しあって決める

③エンディングは「後藤企画」のロゴで終わる。

④動画作品はYouTubeで公開するので、BGMや画像の「著作権」に気を付ける

1日目に「企画」「構成」「シナリオ」「スタッフ、キャスト決め」「絵コンテ」等を発表。

2日~3日目で撮影、編集し、3日目の最後にプレ発表

4日目にプレ発表で指摘された箇所を修正し、完成版をプレゼン

これを聞いたときは、「絶対無理だ」と思いました。

あとで確かめたら、クラス全員が「絶望」していました。

結果はどうだったでしょうか。

この短期間で「プロモーション動画」を完成させることができたのです。

アイデアを出し合い、各自できそうな部分を分担して進めるとできるものなのです。

このカリキュラムは、「動画の完成度」ではなく、Webディレクター職に必要な「動画制作のプロセス」を学ぶことが目的ですので、目的は完全に達成できたといえます。

ちなみに、筆者のグループ「ReBorn チームSJP」は、このようなコンセプトで制作しました。

「Rebore(再生)」をテーマにしたショートストーリー仕立て、後藤企画のイメージを訴求、セリフはなし、BGMのみ、前半モノクロで後半をカラー映像にしてメリハリをつける、全体を2分でまとめるです。

けっこうハードルを上げて自分たちで首を絞めてしまいました。

プレ発表時に、「ストーリーの前提がわかりづらい」との指摘を受たので、LINEやメールの差し込み映像、タイプライター風テキスト映像などを追加してストーリー展開を補完して完成させたのでした。

»後藤企画Webサイト「生徒作品(動画)」


■「Web広告概論」(全32時限)

Web広告概論

Googleのキーワードプランナーを使い、Google広告を出す直前まで実習します。

また、Google広告「検索広告」認定資格の取得を目指します。

筆者も取得しました。

Webデザイン概論他

「Webデザイン概論」(全31時限)や「Webプロモーション・SNS概論」(全25時限)

Canva(キャンバ)figma(フィグマ)といったデザイン作成ツールを使い、実際にサイトの「ワイヤーフレーム」「デザインカンプ」を作成します。

「コンテンツ制作実習」(全13時限)

FC2livedoorブログといった無料ブログサービスを使って、実際にブログサイトを作ります。

「サイト制作・コーディング・CMS実習」(全60時限)

Visual Studio Code(ビジュアルスタジオコード)Dreamweaver(ドリームウィーバー)といったコードエディタを使い、実際にhtml、css、JavaScriptをかいて、「スターサーバー」という無料のレンタルサーバーに実際のサイトを作ってみます。

授業の実例を上げていくときりがありません。

このあたりで終わりにいたします。

だいたいの内容やレベル感が伝わったのではないでしょうか。

どの授業もレベルが高く、進め方も「座学」だけでなく「グループワーク」や「個人ワーク」、「プレゼン」など工夫がみられ、実際に手を動かす実践的な内容が特徴でした。

14名の講師はユニークな方ばかりで、個性あふれる講師陣です。

現役で仕事されている方が多く実践的なお話をまじえながらの授業はとても興味深いものでした。

他の学校の内容やレベルはわからないのですが、どの学校も独自の工夫をして、ハイレベルのカリキュラムだと予想されます。

そうしないと生き残れませんので。

次に、クラスの同期生や全体の雰囲気、学校のサポート体制などをご紹介します。

クラスの雰囲気や学校のサポートについて

後藤企画

■クラスについて

定員は30名

開講式前に1名就職内定したということで29名スタートでした。

「Webマーケティング」という分野のため、20~30歳代が8割です。

40歳代2名、50歳代1名、60歳は筆者1名です。

これでもこの期は年齢層が高い傾向だったようです。

前職はバラエティに富んでいました。

インフラエンジニア、半導体分野のコンサル、ホテルマン、歯科技工士、保育士、看護師、区議会議員立候補経験者、語学堪能な社長秘書、ゲームメーカー、アパレル、着付け師、芸能マネージャーなど。

子育てをしながらという方もいらっしゃいました。

皆さん優秀な方ばかりで本当に驚きました。

「倍率」が高いことが影響しているのだと考えられます。

教室の様子

学ぼうとする意欲が旺盛で、この期間を利用して目標を立てている人が多くいました。

テーマを決めてSNSを運用するとか、1日も欠かさずnoteをアップするとか、毎日卒業までの残日数のカウントダウン&ひとことをグループLINEで配信するなどなど。

すぐに音頭を取る人があらわれるものです。

あれよあれよという間にグループLINEができ、情報共有の体制が整いました。

リモート授業が始まると、放課後に情報交換や授業の復習をやろうと自主的なZoom勉強会が立ち上がりました。

勉強ばかりではなく飲み会も頻繁に開催されました。

この機会を無駄にせず、何でも積極的に取り組もうというパワーにあふれていました。

年齢層が異なるため、筆者のような「定年後」世代とは接点が少ないだろうと思っていましたが、あんがい影響を受けるものです。

リンダ・グラットン著「LIFE SHIFT」に書いてあるとおり、世代や業種を超える交流というのは視野が広がります

生徒は就職が決まるごとに退校していきますので、後半は人数が減っていきます。

「就活」で欠席も増えるため、最後の数週間は半数の時もありました。

■就活サポート

学校事務局からの連絡などは「生徒専用サイト」でおこないます。

「生徒専用サイト」には図書一覧、学習に役立つリンク集、就活Q&Aや役立つ動画、キャリコンを申し込みなどの機能がありました。

Web関連の専門図書がそろっており、自由に借りることができます。

席は自由でした。

「なるべく違う席に座るように」とか、自己紹介カードをボードに貼りだす、学校主催のイベントなど交流促進に配慮が感じられました。

近隣のランチやお弁当の安いお店の紹介までしているのには感心しました。

近隣店舗

「就活」についてのさまざまなサポートが準備されています。

求人の探し方や求人票の見方のテクニックから始まり、「履歴書」「職務経歴書」の書き方の指導のほか、添削までしてくれます。

希望者には、カリキュラムにある「ポートフォリオ」を別途動画撮影して、企業に送りやすいようYouTubeにアップするサービスや、講師でもあるプロカメラマンに証明写真を撮影してもらえるなど手厚いサポートがありました。

モチベーション維持のため、毎朝学校からメールが送られてきます。

役立つ情報、心構え、面接のポイント、外部イベント等のお知らせなどです。

学校終了後も3カ月間「キャリアカウンセリング」「就活支援」が利用できます。

また未就職生徒には個別のケアがあります。

「就活」サポートの力の入れようは、非常に大きなものでした。

それは、民間学校にとって「就職率」というものが、経営にかかわる重要な指標だからなのです。

「就職率」が悪いと、次回開講ができないこともあるのです。

この「就職率」がこれほど重視されていることは、開講前はわかりませんでした。

この「就職率」に関係することで、「職業訓練」を利用する時に忘れてはならない「重要事項」があります。

次に、その「重要事項」についてご説明いたします。

「職業訓練」の忘れてはいけない「重要事項」

最重要事項

「職業訓練」を利用する際に、忘れてはいけない「重要事項」があります。

それは、「職業訓練」は、「就業」することを目的とした能力開発制度であるということです。

筆者は、当初この「就業」の意味するところを幅広くとらえていました。

「就業」とは「働く」こと。「働く」意思があるので「職業訓練」の目的にそっている。というとらえ方です。

ただ、「職業訓練」でいう「就業」とは「雇用保険」が適用される仕事に「就職」するということなのです。

「雇用保険」が適用されている仕事であれば、雇用形態はといません。正社員でもアルバイトでもよいのです。

「職業訓練」の財源が雇用保険料であることを考えると当然かもしれません。

「個人事業主」になることや、「業務委託」は該当しないので注意が必要です。

「業務委託」は会社と独立した事業者との業務契約ですので、雇用関係ではないため雇用保険は適用されません

雇用契約による違いを一覧表でまとめてみました。

<雇用契約一覧表>

比較項目業務委託契約正社員嘱託契約パート・
アルバイト契約
雇用関係なし
(独立した事業者)
あり
(フルタイム労働
者として企業に属
する)
あり
(労働者として企
業に属する)
あり
(短期間または短
時間の雇用関係)
雇用保険
社会保険
適用されない完全に適用される適用されることが
多い
勤務時間によって
は適用されること
もある
法的保護労働法」による
保護はない
労働基準法」に
よる全面的な保護
労働基準法」や
「労働契約法」に
よる保護がある
労働基準法」に
よる保護がある
業務内容特定の業務・プロ
ジェクトに従事
企業の主要な業務
を担当
専門的な業務が多
比較的簡単で補助
的な業務が多い
業務の指揮命令指揮命令を受け
ず、独自に業務を
進める
企業の指揮命令下で働く
労働時間や場所自由に決められる企業の指示に従う
契約期間業務単位やプロジ
ェクト完了時点で
契約終了
期間の定めなし
(無期契約)
有期契約
(更新あり)
短期契約
(数ヶ月から1年
程度が多い)
適用職種フリーランス、コ
ンサルタント、ク
リエイティブ職が
多い
全職種専門職や定年後の
再雇用が多い
一般的なサービス
業、接客業、事務
職など

「職業訓練」を利用する際は、「就職」することを強く求められるということを頭に入れておく必要があります。

そこまで気にしなくてもよいかもしれませんが、「昭和世代」だと、お世話になった学校に「就職率でご迷惑をかけられない」と考えてしまうのではないでしょうか。

筆者はどうしたかというと、修了後は「独立」や「業務委託」で働くことを考えていましたが、詳細を知ったあとは「就活」へ大きく舵をきりました。

そもそも “「定年後」の会社員を応援する”PROFILEで表明しているのです。

学校側が

「今後は定年後の人を合格させるのはやめよう」

という事態になることは、絶対に避けなければなりません。

さらに、代表から筆者が合格になった「裏話し」を聞いてしまったからなおさらです。

次に、その衝撃の「裏話し」を含め、申込から入学までに流れと、難関の「突破作成」をご説明します。

入学」までの流れ ~難関の「突破作戦」~

合格不合格イメージ

「入学」に関して、はじめにお伝えすることがあります。

60歳以上の「定年後」の受講希望者にとって、「入学」を勝ち取ることは「難関」であると言わざるを得ません。

「就職率」を考えると、圧倒的に不利であることは間違いありません。

さらに、人気のある学校は「倍率」も高くなります。

では、筆者はこの「難関」をどのように突破したのでしょうか。

その「突破作戦」と、入学後に代表からお聞きした衝撃の「裏話し」をご紹介します。

まず、「入学」までの流れはこのようになります。

①学校主催の「説明会」に参加 ~勝負はここから始まっている~

②入学希望を正式申込

③面接 ~「面接突破の対策」~

④合否連絡 ~無事合格。その後判明、衝撃の「裏話し」~

⑤入学手続き、各種書類提出

①学校主催の「説明会」に参加 ~勝負はここから始まっている~

説明会

「学校」の候補を決めたら、まずは「説明会」に参加します。

必須ではありませんが、参加して自分の目で確かめることをおすすめします。

参加の申し込みは「ハローワーク」からでも「学校」に直接でもかまいません。

ハローワークで「後藤企画」が人気校であることを知りました。

3倍近い「倍率」をクリアしないといけないというのは想定外でした。

希望すれば全員受講できると思いこんでいましたので。

「説明会」参加者はざっと25名ほどでした。

「説明会」は4回ありますのでそれだけで100名、学校の定員は30名です。

応募率を7~8割と仮定して、前回選考漏れした人が再応募することも考えると、やはり倍率は3倍前後になることが予想できました。

なにより驚いたのが、参加者は20~30歳代ばかりだったことです。

60歳代など皆無です。

3倍の倍率は、実質的に30倍と言えるでしょう。

「説明会」の時から「突破作成」を開始しました。

まずは印象に残らなければ始まりません。印象に残るために考えた作戦は古典的でした。

「話しかける」「やる気を見せる」「お礼メールを送る」です。

「説明会」は学校の代表みずから話されていましたので、終了後に他の参加者が少なくなった時を見はからい「話しかけ」ました。

「質問」するようなさりげないかたちで。

「SEOのテキストはどのようなものですか?」

「先月、定年退職したのですが、今までも定年後の方はいらっしゃいましたか?」

などです。

自宅に戻ったら、さっそく説明会の「お礼メール」を送ります。

そこには、「感謝」と「やる気」をにじませました。

「今回の応募者に定年退職者がいるぞ」と思われるでしょうが、「印象」に残ることを最優先しました。

したたかな計算というよりは、これしか選択肢がなかったと言えます。

②入学希望を正式申込

「説明会」をへて、正式な申し込みはハローワークからおこないます。

手続きは3㎝×4㎝の写真が必要なだけで難しいことは何もありません。

筆者は、「後藤企画」5月17日開講コースに申し込みをしました。

今回不合格だったら次回開講に再チャレンジと思いましたが、次の6月12日開講に「後藤企画」の開講予定はないとのことでした。

その次の7月18日開講はまだ学校審査中とのことなので開講されるか未確定です。

「何としても5月17日開講コースに合格しないとあとがないな」と考えました。

③面接 ~「面接突破の対策」~

面接

正式申込をすると、「面接」の日時が学校よりメールで連絡がありました。

「面接」対策としては、「想定問答」を考えて「予行練習」したのは言うまでもありません。

目標は、面接官が “クラスに「好影響」を与えそう⇒「ためしてみよう」”という気持ちになることです。

当人の「就職率」が低かったとしても、クラスメートに好影響を与えて全体の「就職率」が高まると思わせる作戦です。

どうしたらよいのでしょう。

この時の作戦もまた古典的でした。

「きちんとした人」「協調性のある人」を演出する、です。

事前準備をする「きちんとした人」を演出するため、職歴と取得資格がパッとわかるA4の「補助資料」を準備しました。

「協調性のある人」を「印象」つけるため「笑顔」に気を配りました。

面接官は2名。厳しそうな女性の方と、もう一人は説明会でお会いした代表です。

時間は5分程度、あっさりと終わってしまいました。

覚えている質問は2つです。

「1分間で自己紹介・応募動機を説明してください」ということと、

「希望職種に就職がなかなか決まらなかった場合のどのような対策をしますか」というものでした。

1つ目は想定内でしたが、2つ目は想定外でしたのであまりうまく応えられませんでした。

④合否連絡 ~無事合格。その後聞いた「合格の裏話し」~

合格メール

合否連絡については1週間後にメールできました。

結果は「合格」でしたので、「突破作戦」が功を奏したと言えます。

特に手ごたえを感じたのは「笑顔」です。

厳しい顔の女性面接官の表情が、筆者の「笑顔」の後にゆるんだからです。

そう思い込んでいたので、開校後3か月を過ぎたあたりで、代表に「合格の裏話し」を聞いたときは本当に「肝を冷やす」思いでした。

実は、女性面接官の評価は「不合格者リスト」最下位だったそうなのです。

女性面接官は学校の「就職担当」の先生でした。

「就職率の責任」を負うものとしては当然の判断ではないでしょうか。

なぜ最下位から「敗者復活」したか。

逆転勝利

それは最後のひと枠を検討する会議で、代表が筆者を思い出したからだそうです。

「説明会」の日に教室見学があったのですが、その移動中に筆者から話しかけられたことが強く「印象」に残っていたらしいのです。

最終的には「ためしてみよう」と合格になったので、作戦とおりではありますが、首の皮一枚というはまさにこのようなことをいうのでしょう。

このあたりが「定年後」会社員の「普遍的な突破作成」として胸をはってご紹介できない理由であります。

ただ、「面接」体験をへて、有効性の高い「想定問答」を一つ申し上げておきます。

それは、「希望職種で就職が困難だった時にどのような手を打ちますか?」と質問された時のこたえです。

「コネを駆使してでも必ず就職します」

「それでもだめなら、最後は雇用保険が適用されるアルバイトでも何でもやります」

「就職率」を下げないことを確約するのです。

学校が懸念する「就職率」低下リスクを解消することができ、一定の効果が期待できるはずです。

※ただし、合格を保証するものではありません。使用については自己責任でお願いします。

「合格の裏話し」を聞いたあと筆者はどうしたかというと、代表の顔に泥を塗ることはできないと、ご迷惑をおかけしないことを約束し、「就活」に大きく舵をきったのは前述したとおりです。

⑤入学手続き、各種書類提出

入校日の指定日(前日が多い)にハローワークで入学の「オリエンテーション」と「手続き」をします。

合否連絡メールに添付されている「選考結果通知書」は印刷して持参します。

書類は、「受講・通所届」「受講証明書」「受講指示書」「受講資格者証」です。

交通費である「通所手当」の申請もしますので、あらかじめルートを調べておくとよいでしょう。

使用する書類は個別に準備されており、流れにそって手続きしますので特に難しいことはありません。


手続きが終了すると、「就職支援計画書」をもらいます。

この書類は毎月ハローワークで使用することになります。

もともと指定されていた「失業給付」の認定日は、「職業訓練」が開始されると授業のスケジュールに沿って変更になります。

その日が新しい「失業給付」の認定日に変更になります。

次に、そもそも「後藤企画」をどのように探したかをご紹介します。

はじめは、本当によくわかりませんでした。

「職業訓練校」の探し方

「学校」の内容はだいたいわかったけど、そもそもどうやって探したらいいの

ちょっと調べてみたけどいろいろあってよくわからない

調べ始めるとすぐにこのように感じると思います。

筆者もはじめて調べた時はチラシやパンフレットを片っ端から集めたのですが、たくさんありすぎてよくわかりませんでした。

職業訓練資料
学校のチラシや冊子(もっとたくさんありました)

ならばと、全体像を把握しようとハローワークの「職業訓練」制度の説明資料をみましたがさっぱり理解できませんでした。

ハローワーク資料01
「ハローワーク資料」
ハローワーク資料02
書き込みながらハローワーク担当者が説明してくれました

ホームページも検索してみましたが、用語が難しくてすぐに挫折してしまいました。

■調べたホームページ

»東京労政局「ハロートレーニング(職業訓練)について」

»高齢・障害・求職者雇用支援機構「職業能力開発支援」ページ

全体を理解でき、自分が受講していた学校の位置付けが完全に理解できたのはつい最近のことです。

受講していた学校の位置付けを理解していなくても問題はないのですが、全体概要を分かっていた方がなにかと便利ですのでご説明いたします。

「職業訓練」制度の全体像

「職業訓練」制度を利用者(ユーザー視点)からのアプローチと、行政(提供者視点)からのアプローチで、図にあらわしてみました。

<「職業訓練」制度の全体図>

職業訓練俯瞰図
各資料をもとに作成

この図の中で筆者がかよっていた「後藤企画」は、

●学校・学科の実施期間:「6か月の実践コース」

●分野:「デザイン」分野

●運営主体:「民間の学校」

●制度の名称:「求職者支援訓練」

●実施主体:「国(高齢・障害・求職者雇用支援機構)」

に分類される学校です。

ときどき「高齢・障害・求職者雇用支援機構」の方が授業を視察していた理由がやっとわかりました。

※この団体は、国にかわり職業訓練を含む「能力開発事業」を実施している独立行政法人です。そのことは「雇用保険法」に明記されています。

第63条第3項 政府は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構法及びこれに基づく命令で定めるところにより、第一項各号に掲げる事業の一部を独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に行わせるものとする。

e-GOV法令検索「雇用保険法」第63条第3項

利用者は、上記図の上から下に探していきますので、はじめにさまざまなチラシやパンフレットを見て、よくわからなくなるのです。

ハローワークの説明資料は、行政側が下から上の視点で説明していますので、聞きなれない用語が先行してしまい、すぐに挫折してしまいます。

学校のチラシやパンフレット、ホームページは、いろいろな種類のものがあることと、「行政側」が制作している資料は、制度の名称や分類から始まるということがわかっていると、難しさも少し軽減されるはずです。

最終的に一番良い方法は、ハローワークの窓口で相談することです。

親切にいろいろと教えてもらえます。

筆者は時間をかけて調べても仕組みがわからなかったのですが、資料をもとに1~2分ご説明いただいたらざっくりと理解できました。

さらに、「後藤企画」を含めて、Webマーケティングを実施している学校を3校紹介してくれました。

一般的な会社員だった人が「オフィスワーク系」で探すなら、「民間の学校」が主体になります。

制度の分類(「公共職業訓練」「求職者支援訓練」)は、あまり関係ありません。

なぜなら、2022年より、一般的な会社員だった人(雇用保険の対象者)も「求職者支援訓練」の学校を選択できるようになったからです。

»参考:厚生労働省ホームページ「求職者支援制度に関するよくあるご質問 Q4」

筆者の学校も「求職者支援制度の実践コース」でした。

ちなみに、「求職者支援訓練」とは、2011年に開始された「雇用保険の対象でない方」のための職業訓練制度です。

「雇用保険の対象でない方」というのは、自営業で廃業した方、専業主婦だった方、働いたことがない方などです。

「雇用保険に未加入だった方」ということですね。

学校選定の2つのポイント

学校選定のポイント

レベルの高い「学校」を選ぶポイントを2つご案内したいと思います。

「学校」選定の2つのポイント

①「民間」の学校

②入学の「倍率」が高い学校

①「民間」の学校

「民間」の学校は、よい選択肢だといえます。

というのは、民間学校は開講するための「厳しい基準」があるからです。

基準を満たさないと、開講できないのです。

基準に一つに「就職率」があります。

各校「就職率」を上げるために、さまざまな企業努力をしなければなりません。

カリキュラム内容の充実、手厚い就職支援、生徒のモチベーションアップの施策などです。

カリキュラム内容は常にアップデートして変わっていきます。

「後藤企画」も学習環境やサポートが非常に充実していたのですが、その裏には生き残りのためのさまざまな企業努力があったことは間違いないです。

開講が決まっているのは数ヶ月先までなので、自分が希望する時期的に行きたい学校が開校していない可能性もあります。

民間学校とのめぐりあいには「運」の要素が少しあるといえます。

②入学の「倍率」が高い学校

人気がある「学校」や「分野」は「倍率」が高くなります。あたりまえですね。

「倍率」が高い学校ほど、優秀な方が多くなります。

同期が優秀であることはとても重要で、授業のグループワークや自主的な勉強会でも「切磋琢磨」することができます。

また、修了後も大きな「人脈」になる可能性が高いのです。

この「民間」の学校、「倍率」の高い学校の2点は、選定の際に考慮すべき大きなポイントになりますので参考にしてみてください。

その分、入学するのが難しくなりますが、せっかく「定年後」に学びなおすのですからぜひ「挑戦」してみてください。(首の皮一枚だった筆者が言うのも何なのですが…)

それにしても、なんでこんなに多種多様な「学校」「科目」があるのでしょうか。

次に、「職業訓練」の変遷について調べてみました。

「職業訓練」の変遷について

多種多様な「学校」や「科目」になった「職業訓練」の変遷を調べてみました。

「能力開発事業」の目的をあらためて確認してみましょう。

「職業能力開発促進法」にはこのように記載されています。

「職業能力開発促進法」の目的

第一条「この法律は、(中略)職業に必要な労働者の能力を開発し、及び向上させることを促進し、もつて、職業の安定と労働者の地位の向上を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。」

»e_GOV検索:「職業能力開発促進法」第一条(目的)より

要するに「能力開発することで産業構造の変化に柔軟に対応できるようにする」ということです。

新しい知識やスキルの習得で、「人材不足業界への円滑な雇用の流動化」を図る目的もあることでしょう。

産業構造が変わることで、必要とされる人材も変わってきます。

社会のニーズにあわせて「職業訓練の科目」がどのように変わってきたのかを調べてみました。

年代時代背景
社会のニーズ
「職業訓練」の
科目内容の変化
国の政策・法律
1940~
1950年代
戦後復興期
産業基盤の再建が急務
~戦後復興に必要な基本的技能
・基礎技術分野(溶接、旋盤加工)
・建築基礎
(大工、配管、塗装)
1958年:「職業訓練法」制定
1960年代高度経済成長期
製造業の需要増加、

労働力不足
・電気工学(モーター整備、配線技術)
・自動車整備
・製造業向け機械工学
~技能者育成に重点~
1969年:「職業訓練法」改正
1970年代公害問題やエネルギー危機
技術革新が進展
・化学技術(合成樹脂加工)
・環境技術
(排水処理)
・電子技術
(半導体加工、通信機器の基礎)
~職業訓練の民間への委託を積極導入~
1978年:「職業訓練法」改正
1980年代バブル経済期
サービス産業の拡大
・情報処理(プログラミング基礎)
・サービス業
(観光・ホテル運営)
・機械制御
(NC工作機械)
1985年:「職業能力開発促進法」制定
1990年代バブル崩壊
雇用不安と就職難の時代
・IT技術(ネットワーク構築、データベース管理)
・福祉・介護分野
・ソフトウェア開発
(ERP基礎)
~能力開発の主体や訓練内容の多様化~
~ホワイトカラーの能力開発~
1992年:「職業能力開発促進法」改正
2000年代IT革命
グローバル化と少子高齢化
・Web技術(HTML、CSS)
・医療事務
・リサイクル技術
(再生可能資源活用)
〜再就職支援制度の充実〜
〜「eラーニング」の導入〜
2000年:「雇用保険法」改正
2010年代非正規労働者の増加
AI・IoTの台頭
働き方改革の推進
・AI・データサイエンス
・ドローン技術
・外国語スキル
(多文化接客、英語)
2011年:「求職者支援制度」スタート
2017年:愛称「ハロートレーニング」決定
2020年代デジタル社会の加速
コロナ禍での労働環境変化
・DX関連技術(クラウド、データ活用)
・リモートワークスキル
・持続可能性
(SDGs、環境技術)
DX推進に向けた支援強化
2021年:「オンライン授業」と「通学」と
組み合わせた「ハイブリット授業」の導入
参考資料等をもとに作成

»参考:同志社大学 学術リポジトリ「わが国における公的職業訓練の制度概要とその歴史的変遷」(霜永智弘 著)

»参考:帝京大学「職業訓練の変遷と課題」(逆瀬川 潔 著)

»参考:平成26年9月30日 厚生労働省職 業能力開発局「職業能力開発の現状について」

»参考:平成27年11月26日 厚生労働省 職業能力開発局「職業能力開発関係資料集」

時代とともに「職業訓練の科目」が基礎分野からサービス分野に拡充されてきていることがわかります。

「学校」の運営方法についても1970年代に変化がありました。「民間」への委託が拡大しています。

「受講対象」についても、2011年から「雇用保険の対象ではない方」にも拡大され「求職者支援制度」が導入されています。

「授業の進め方」は2000年代から「通学」だけではなく「eラーニング」が導入されました。

コロナ禍の2021年からはZoom等を活用した「オンライン授業」も組み込まれています。

今では「通学」と「オンライン授業」を組み合わせた「ハイブリッド型」があたりまえになっています。

これからも時代の変化とともに新しい分野を取り入れ、授業の進め方の工夫をし続けていってもらいたいと思います。

何より、民間学校の基準である「就職率」を見直していただきたい。

この厳しい基準がある限り、民間学校は「就職率」を下げるリスクのある「シニア層」を受け入れづらくなります

「60歳以上の就職の場合は就職率5倍アップ」などの特典があれば、民間の学校も奪い合って60歳以上を受け入れることでしょう。

また、厚生労働省は「高年齢者雇用安定法」を改正し、70歳までの「就業機会の確保」を企業の努力義務としています。

その努力義務の項目に「業務委託」を入れているのですから、シニア層の「就職率」に「業務委託」を認めてもよいのではないでしょうか。

(「業務委託」については、»「定年後」は皆どうしているのか?【データで見る定年後】でご紹介していますので、よろしければご参照ください。)

企業に長期雇用をまかせるより、各人が自分の能力を高めて、自力で未来を切り開いていけるよう、選択肢を増やしていく方が、発展的に問題解決できるのではないでしょうか。

申込から学校終了までの時系列説明

最後に、筆者がはじめて「職業訓練」の存在を知ってから、実際「職業訓練」を受講し、修了するまでを時系列にまとめてみました。

ハローワークに相談してから「面接日」までは25日、「開講式」まで1カ月半でしたので、意外と駆け足ですね。

余談ですが、6月中旬~10月中旬がオンライン授業だったので、猛暑の時期に通学が少なく助かりました。

年月日 内容
2022年5月 「職業訓練」制度の存在を知り、退職後のリスキリングに活用できそうだと調べ始める。
2024年2月 ハローワークで「パンフレット」「チラシ」をもらい、「Webマーケティング」の学校探しを開始。
「後藤企画」を最有力候補とする。
2024年3月 定年退職
2024年4月1日 ・ハローワークで「職業訓練」の相談をして
「後藤企画」を含む3校を紹介される。
・「後藤企画」に絞りホームページから「説明会」を申し込む
・人気校は「面接(選考会)」倍率高いことを知り「突破作戦」を練る
2024年4月2日 「後藤企画」の「説明会」に参加
参加者が20~30歳代中心なのに驚く
その日に「説明会」の「お礼メール」を送る
2024年4月8日 ・ハローワークで「後藤企画」に正式申込を手続き(3㎝×4㎝の写真必要)
・「面接対策」を練る
2024年4月25日 「面接日」
面接官は2名(就職担当と代表)
2024年5月2日

「合否通知」が後藤企画よりメールで届く。
無事合格
・合格者には「選考結果通知書」が添付
・「テキスト」代は入学日までに「後藤企画」指定先に振り込む

2024年5月16日 ハローワークで入学「オリエンテーション」と「手続き」
2024年5月17日 「開講式」
2024年5月20日 授業開始(開始1ヶ月間は通学による「対面式授業」)
キャリアコンサルティング(第1回)
(定例以外でも希望者はいつでもキャリコン可能)
2024年6月18日 Zoomによる「オンライン授業」開始(4ヶ月間)
(通学日は月1回:7/16、8/15、9/16、10/16)
2024年8月5日 キャリアコンサルティング(第2回:オンライン)
・入学の「裏話し」を聞き、「就活」に本腰入れる。
2024年8月20日 「就活戦略」を作成する
・定年後のライフワークとリンクする企業探し、内定短期決戦の活動開始
2024年9月30日 キャリアコンサルティング(第3回:オンライン)
2024年10月17日 通学による「対面式授業」再開(ラスト1ヶ月)
2024年11月7日 就職内定
2024年11月12日 「修了式」
・修了証書、成績表、懇親会
2024年11月19日 後藤企画ホームページ「卒業生の声」に掲載される

今回は以上です。

「職業訓練」は使い方によって、「定年後」のリスキリング、新たな未来構築に有益な場になることを保証します。

「世代を超えた人間関係」や、人生100年時代の「マルチステージ」を生き抜くための「無形の資産」を手に入れることができることでしょう。

少しでも興味がある人は、ぜひチャレンジしてください。

長文にお付き合いいただきありがとうございました!