この記事では、「老後不安がなくなる 定年男子の流儀」大江 英樹 著(ビジネス社)をご紹介します。
読後に「定年後」の不安などが小さいことに感じられ、前向きな気持ちになる本であることは間違いないです。
「定年」に関して読んださまざまな本の中で、影響を受けたベスト1は?と問われたら、間違いなくこの「定年男子の流儀」であると即答します!
大江 英樹さんは、大手証券会社で定年まで勤め、定年後は再雇用で働くも嫌になり半年後に退職し、いきなり起業した経歴を持つ方です。
45歳の時に出世ルートから外されたり、退職後に起業しても2年間はほぼ収入がなかったりと、死線をくぐりぬけてきた方です。
その後は、経済コラムニストとして活躍され、「定年」や「年金」を中心に数多くの著書があります。
それではさっそくはじめます。
老後の不安がなくなる「こたえ」

本のタイトルにもなっている「老後不安がなくなる」のこたえは、読み始めてすぐに書いてあります。
それは、「老後をなくせばいい」という考え方でした。
「世の中の老後対策本の多くは、早い時期から計画的に老後の準備をすることを説いています。(中略)
私はまったく別のアプローチで老後不安をなくすということを本書で提案します。
“老後不安”をなくすにはどうすればいいか?
それは“老後”をなくせばいいのです。(中略)
私は働くことをやめたときから「老後」が始まると考えています。つまり、「働いている限り老後はない」という考え方なのです。」
(P15-16「第1章 コツ01 “老後不安”をなくすためのたった1つの方法とは?」より)
ユニークな考え方ですね。
大江さんの世界観が伝わってきます。
この本は、データや取材をもとに客観的にまとめたというより、ご自身の体験からくる大江さん流の考えを中心に書かれています。
そのことは、「はじめに」を読むとよくわかります。
この本は、そんな私自身が身をもって体験したことをベースに、定年後の人生の楽しみ方を書いたものです。(中略)
ただただ、みなさん、1人ひとりにじっくりと読んでいただいて、定年後、「本当に豊かな人生」を送っていただきたい。そんな強い思いで書きました。
(P5「はじめに」より)
大江さんの「おもい」が伝わってきます。
「定年後」のライフワークで考えられる3つのこと「再雇用」「転職」「起業」

本書は、「定年後」のライフワークで考えられる3つのことについて書かれています。
それは、
- 「再雇用」
- 「転職」
- 「起業」
です。
❶「再雇用」について
大江さんご自身、はじめは「再雇用」を選んだのですが、すぐに嫌になって半年後に退職しています。
その体験をもとに、「再雇用」のメリット、デメリット、心構えを書かれています。
❷「転職」について
「転職」は体験していないと前置きしつつ、まわりで「転職」に成功している人、そうでない人から共通する傾向を解説してくれています。
メリット、デメリット、さらに探し方や成功させるためのコツを書かれています。
コツさえつかめば「再雇用」も、楽しく働けそうな気になってきます。
❸「起業」について

大江さん自身が「起業」されていますので、最も力が入っています。
「再雇用」をやめて「起業」したきっかけの部分をご紹介します。
ある時テレビ番組でやっていたクロアチア特集を見たそうです。
クロアチアの最南端にある「ロヴリイェナツ要塞」の城壁にはラテン語で次のような文言が書いてあるとのこと。
「Non bene pro toto libertas venditur auro」
「どんなに黄金を積まれても決して自由を売り渡してはならない」という意味だそうです。
これからどうするか日々悩んでいた大江さんは、偶然見たテレビ番組がきっかけとなって、「起業」というこたえを見つけたそうです。
サラリーマンは、自分のやりたいことをやる「自由」を犠牲にして会社のために働くかわりに、生活の安定を得ていました。これは決して悪いことではありません。
でもそれは、「定年」というイベントによって60歳で終わりを告げたのです。(中略)
「サラリーマンは定年によって『真の自由』を得ることができる。そして、その自由は決して誰にも渡してはならない。
だとすれば、私は会社を定年で辞めた後に、さらに会社に自由を売り渡すような再雇用で働き続けるべきではない。
本当に自由な働き方ができるようになったのだから、それを大切にしよう」
番組を見ながらそう確信すると、いても立ってもいられなくなり、クロアチア行きの切符を買ってしまったというわけです。
(P156「第4章 コツ29 クロアチアの城壁にあった探し求めていた“答え”」より)
大江さんの起業した会社名「株式会社オフィス・リベルタス」が、ラテン語で「自由」という意味なのもうなずけます。
「理念」のページに同じ内容が記載されています。
大江さんの著書に共通して感じる「どうせなら自由に生きようぜ」という「心意気」の理由が、ここを読むと理解できました。
大江さんの力強い「おもい」に心を動かされ、「影響を受けた本」ベスト1となった次第です!
大江さんの書籍は「別記事」でも紹介していますので、興味のあるかたはぜひお読みください。
最後に
個人的な話で恐縮です。
大江さんは、別記事で紹介している「東京セカンドキャリア塾」の基調講演をされる予定でした。
筆者は、ひそかにお会いできることを楽しみにしていましたが、直前にお亡くなりになり、実現することはありませんでした。
大江さんの書籍を読んでいなかったら「東京セカンドキャリア塾」を受講していなかっただろうし、受講したグループワークがきっかけでスタートしたこのサイトも存在していなかったでしょう。
「書籍」により未来が変わることを実感した一冊です。
「東京セカンドキャリア塾」の体験ルポは、別記事で詳しく紹介しています!
今回は以上です。