この記事では、「ほんとうの定年後 ~「小さな仕事」が日本社会を救う」坂本 貴志 著(講談社現代新書)をご紹介します。
本書は、「定年後」の仕事の実態を様々なデータをもとに分析しています。
また、「定年後」の分析だけではなく、インタビューをとおして、シニア世代のライフワークが持続可能で豊かな経済社会を実現していくカギだと提唱しています。
とても前向きで建設的な話なのです。
坂本 貴志さんは、現在、リクルートワークス研究所 研究員・アナリストです。
厚生労働省で「社会保障制度」の企画立案業務などに従事した後、内閣府で「経済財政白書」の執筆も担当されたこともあるとのこと。
なるほど、全体の論調から「白書」っぽさが感じられるのは、実際に執筆経験があるからなのですね。
「はじめに」に書かれている内容を読むと、この本の意図がわかります。
「漠然とした不安を乗り越え、豊かで自由に生きるにはどうすればいいのか。本書を通じて定年後の仕事の等身大の姿を知ることが、その一助となれば幸いである。」
(P10「はじめに」より)
まさに、「定年」を前にし、どうしようかと思い悩んでいた頃だったので、その言葉を読み思わず購入したのを覚えています。
また、このような記述もあります。
「本書で焦点をあてるのはむしろ、定年後の「小さな仕事」にムリなく従事しながら、日々つつましくも幸せな生活を送っている人たちの姿だ。なぜなら、このような人たちの姿が高齢期の「典型」であることを、様々なデータが教えてくれるからである。」
(P9「はじめに」より
そうなのか、そのような人たちが「典型」なのかぁ。と興味をそそられました。
データを根拠にした「定年後」の仕事の実態をおさえておくにはうってつけの一冊です。
唯一気になるところは、後半に「小さな仕事」というフレーズが多用されるところでしょうか。
ビジネス用語で「スモールビジネス」という表現もありますが、その表現も私はあまり好きではありません。
概念に対する呼称というだけなので、気にするところではないのですが、「小さい」に過度に反応してしまう小さい自分がいることは否定できません。
もっと、しっくりくる表現があるといいなと思った次第です。
今回は以上です。